粘度

みみず鎖パラメータのフィット(持続長 q・直径 d)

固有粘度 [η] の分子量 M 依存性のデータから、みみず鎖円筒の持続長 q と直径 d を 最小二乗フィットで決定します。求めた q・d は「高分子溶液の有限濃度粘度予測」ツールの入力として使えます。

計算式の準拠先: H. Yamakawa, "Modern Theory of Polymer Solutions", Harper & Row (1971), Sec. 36d(ii)。 計算はブラウザ内で行い、入力値はサーバーに送信されません。

これは佐藤(2012)論文が実際に使った式(Yamakawa-Fujii/Yoshizaki, 1974/1980)ではありません。 その前身にあたる Hearst-Tagami (1971) 理論を使っています。2つの極限(棒状域・柔軟域)が 別々の式で与えられており、中間領域のデータは自動的に除外されます。 詳しくは「前提・注意」を必ずお読みください。

既知値

ML は化学構造(繰返し単位の分子量・伸び切り長さ)から 計算できる既知値として扱います。ここではフィットしません(理由は下の「前提・注意」)。

フィットの初期値
[η] vs M のデータ

1行に「M, [η]」(分子量 [g/mol], 固有粘度 [cm³/g])。区切りはカンマ・タブ・空白のどれでも可。2行以上。

計算式

Hearst-Tagami (1971) 理論。非自由排水(a=b=d)を仮定。

Kuhn の統計セグメント数(式2 相当)
N = λL = L / (2q)(L = M/ML)。N の値でどちらの式を使うか判定する (N<0.1: 棒状域、N>10: 柔軟域、それ以外: 計算不能として除外)。
棒状域(式36.91、λL≪1)
[η] = (πNAL³)/(90M) × [1/(ln(L/d)−2.06) + 3/(ln(L/d)−1.39)]
q に依存しない。この領域のデータだけでは q は決まらない。
柔軟域(式36.90、λL≫1)
[η] = Φ₀(L/λ)^1.5/M × {1 − 0.891[ln(λd)+1.431](λL)^−0.5}^−1、 Φ₀ = 2.19×10²³(cgs系)。

前提・注意

  • これは佐藤(2012)論文が使った式ではありません。Yamakawa & Fujii (1974, Macromolecules 7, 128)・Yoshizaki & Yamakawa (1980, J. Chem. Phys. 72, 57) による、 棒状域〜柔軟域を1本のなめらかな式に内挿した改良版が実際に使われていますが、 本ツールは購読制の原論文にアクセスできなかったため、その前身である Yamakawa の教科書(1971)の理論を実装しています。
  • 中間領域(0.1<N<10 程度)のデータは計算できません。2つの式の間を なめらかに繋ぐ式が原著にないためです。この領域のデータ点は自動的に除外され、 表とグラフに「中間(除外)」として表示されます。
  • ML はフィットしていません。柔軟域の式の主要項が q と ML の比 (q/ML) でしか決まらず、3つを同時にフィットすると数学的に不良設定(縮退)に なることが確認されたためです。ML は化学構造から計算した既知値を入力してください。
  • 棒状域のデータだけでは q は決まりません。式(36.91)が q(λ)に依存しないためです。 q を決めるには柔軟域(N>10 相当)のデータが必要です。
  • 初期表示の値は動作確認用のプレースホルダーで、実測データではありません。

出典

  1. H. Yamakawa, Modern Theory of Polymer Solutions, Harper & Row (1971), Chap. VI, Sec. 36d(ii), 式(36.68)(36.90)(36.91) ― 京都大学学術情報リポジトリ KURENAI で著者自身が無償公開 — repository.kulib.kyoto-u.ac.jp(原文で式を確認済み)
  2. 佐藤尚弘「高分子溶液の粘度に関する分子理論」高分子論文集 69(11), 613-622 (2012) — J-STAGE(原文PDF)
  3. 物理モデルの実装は、式ごとに上記論文と突き合わせて検証済みの Python コード (本サイト同梱の chain_fit/ パッケージ)をそのまま呼び出しています。 検証の詳細は labochro リポジトリの docs/formulas.md を参照してください。