LC

HPLC メソッド移管の計算

カラムの長さ・内径・粒子径を変えるときの流量・注入量・グラジエント時間を、薬局方の換算式で一括計算。L/dp の許容範囲(−25%〜+50%)も判定します。

計算式の準拠先: 日本薬局方 第十九改正 一般試験法 2.00 クロマトグラフィー総論(USP〈621〉・Ph. Eur. 2.2.46 と調和済み)。 計算はブラウザ内で行い、入力値はサーバーに送信されません。

元の条件(各条・原法)
新しい条件(使うカラム)
グラジエント表(任意。イソクラティックなら空のまま)

1 行に「時間(分), %B」。区切りはカンマ・タブ・空白のどれでも可。先頭行は 0 分から。

計算式

いずれも薬局方 2.00 の「4. クロマトグラフィー条件の調整」に記載の式です。

L/dp の許容範囲
カラム長 L と粒子径 dp の比が一定、又は規定の L/dp の −25% 〜 +50% の範囲なら変更可(イソクラティック・グラジエント共通)。
流量
F2 = F1 × (dc2² × dp1) / (dc1² × dp2)
内径の 2 乗に比例(線速度を保つ)、粒子径に反比例(小粒子ほど最適線速度が高い)。カラム変更後さらに ±50% の調整が許容されます。
注入量
Vinj2 = Vinj1 × (L2 × dc2²) / (L1 × dc1²)
カラム容量(L × dc²)に比例させます。
グラジエント時間
tG2 = tG1 × (F1 / F2) × (L2 × dc2²) / (L1 × dc1²)
グラジエント容量(tG × F)とカラム容量の比を一定に保ちます。グラジエント表のすべての区間にこの係数を掛けます。

条文の計算例(150 × 4.6 mm, 5 μm, 2.0 mL/分 → 100 × 2.1 mm, 3 μm)では F2 = 0.7 mL/分、係数 0.4 で、 グラジエント 0/3/13/16 分が 0/1.2/5.2/6.4 分になります。初期値はこの例に合わせてあります。

前提・注意

  • 固定相の置換基(C18 → C8 など)と検出波長は変更できません。担体・表面修飾・化学修飾の程度も類似している必要があります。
  • 全多孔性粒子から表面多孔性(コアシェル)粒子へ変える場合、L/dp ではなく理論段数 N(グラジエントでは各ピークの (tR/wh)²)が規定カラムの −25%〜+50% にあることで判定します。注入量の式も適用できないことがあります。
  • 粒子径が 3 μm 以上 ↔ 未満をまたぐイソクラティック分離では、カラム性能の低下が 20% 以内なら線速度をさらに増減してよいとされています。
  • カラム温度はイソクラティック ±10 ℃、グラジエント ±5 ℃。移動相の pH ±0.2、緩衝液の塩濃度 ±10% が許容範囲です。
  • グラジエント法は、ピークが別の勾配区間に移ってピークの重なりや溶出順の逆転が起こりうるため、イソクラティックより慎重な確認が必要です。装置のグラジエント遅延容量(ドウェル容量)の違いは本ツールでは扱いません。
  • 複数パラメーターの同時調整は累積的に影響します。調整後はシステム適合性への適合が唯一の合否ゲートです。範囲外の変更には再バリデーションが必要です。
  • この換算は薬局方の条文上の取り扱いです。各社の SOP や当局の判断がこれと異なる場合は、そちらが優先されます。

出典

  1. 厚生労働省「第十九改正日本薬局方」(令和8年4月10日厚生労働省告示第193号)一般試験法 2.00 クロマトグラフィー総論 4. クロマトグラフィー条件の調整(p.42〜44) — https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001689414.pdf(原文を確認)
  2. USP-NF General Chapter 〈621〉 Chromatography(2022-12-01 official)および Ph. Eur. 2.2.46 Chromatographic separation techniques(11th Ed.) — 上記 JP 2.00 と同じ PDG 調和文書に基づく。原文は購読制のため本ツールでは未確認。